船箪笥

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船箪笥とは
船箪笥は、北前船や千石船と呼ばれる商船で用いられていました。これらの船は、江戸時代から明治時代まで、日本の主要な交通手段だったものです。
船で使われることを前提に作られた箪笥は、船内や狭い場所での移動が容易なようにコンパクトにまとめられ、頑丈な構造、鉄でできた金具で荒波に耐えていました。
船からの収入は莫大であり、箪笥は船主の富と権力の象徴とされたため、多くの船箪笥は非常に華麗な装飾が施されました。
船箪笥にも様々な種類があり、羽織袴などの衣服を収納する「半櫃」のほか、帳簿、金銭、印鑑、筆、硯など、商売に欠かせないものを収納する「懸硯」や「帳箱」などが有名です。
写真に見える箪笥は「懸硯」と呼ばれ、携帯金庫の役割を果たしました。箱のちょうど真ん中には、持ち主の紋が入り、金属製の留め具がかかっています。扉全体には、透かし彫りの金具、大きめの錠前、蝶番など、さまざまな工夫が凝らされています。外側は緻密なケヤキ材、内側は桐の引き出しと、秘密箱も入っています。